秋分 雷乃声収

秋分(しゅうぶん)

1日の内で昼と夜の長さが
ぴったりと同じになるのが
春分と秋分です。

夏至が最も昼が長く夜が短い陽が極まる日、
冬至が最も昼が短く夜が長い陰が極まる日、
だとすれば、
春分と秋分は陰と陽を中和させる大事な日です。

御彼岸というのは仏教の言葉ではありますが
これは日本独自のもの。
仏教伝来前の古神道と呼ばれているような
独自森羅万象の信仰が仏教に取り入れられ
今の形となりました。

また、農耕には欠かせない日でもあり
豊作を祝い、感謝を捧げ、田の神様を祀る祭事などが
この頃に行われます。

暑さ寒さも彼岸まで。
そろそろ本格的な秋冬の準備をしてもいいのかもしれません。

 

雷乃声収(かみなり こえを おさむ)

春の、雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)と
対になっているのですが
何だかドラマチックな表現に感じます。
例えば、鰯雲現とか彼岸花咲とか、
そんな表現でも良いと思うのですが
幕引きはドラマティックに…というのも
日本ならではなのでしょうか。

この頃になると空気中の放電のエネルギーが弱くなって
夏のあの勇ましい雷鳴は殆ど聞こえなくなり
聞こえるか聞こえない位の遠雷となるのだそうです。

そして
「雷(かみなり)」は夏の季語ですが、
「稲妻(いなづま)」は秋の季語。

いかずち、ごろつき、かんなり、らいさま
様々な呼び方がありますが
いずれも稲妻は、雷の光で、稲光(いなびかり)ともいいます。
落雷した田んぼでは稲が良く育った為に
稲穂は雷に感光して実るとされ、
そこから稲の「妻」と呼ばれるようになったのだそうで
その様子は古今集にも詠われています。

 

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鯊(はぜ)
真鰈(まがれい)
松茸(まつたけ)

江戸前天ぷらの代表的なネタがハゼですね。
秋から冬にかけて大きく育ち、
秋分の頃に味がのるものを「秋分はぜ」と言うそうです。

隅田川などの屋形船などでは
釣ったハゼをその場で天ぷらにしてくるのだとか。
一度、そんなゆったりとした遊びをしてみたいものですね♪

 

一首

秋の田の穂の上を照らす稲妻の光のまにもわれや忘るる

古今集 巻11 584
詠人知らず

ほんの一瞬、秋の田の稲穂に光る稲妻の間でさえ、
私はあなたのことを忘れることが出来ましょうか…。

夏の雷のように派手に騒ぐことはないけれど
例え一瞬、夜でも美しく光る稲光は
胸の奥深くに秘め決して消えない
恋心そのものなのかもしれません。