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自分の感受性くらい

「自分の感受性くらい」

ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

 

何度か目にしたことがある方もいらっしゃると思います。
茨木のり子さんの詩。

これが書かれた背景には
戦争により日々の生活から
芸術や娯楽というものが消え失せてしまった時に、
のり子さんが強く胸に抱いた想いを
うたったものだそう。

今、私達は形式としては
穏やかに暮らすことが出来ていますが
果たして感受性を保っていることが出来ているのかしら?
…と、考えることがあります。

色々なものに恵まれているというレベルを超して
飽和状態になってしまい
かえってぱさぱさにしてしまっているのではないかしら、と。

自分の心の鉢植えを
水をやりすぎるのも乾かしすぎるのも
調整出来るのは
自分自身でしかありませんね。

かれこら10年以上前に
大事な年上のお友達から教えてもらったこの詩は
私の指針にもなっています。

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後藤正治さん著の表紙より。
ご本人も凜とした美しい方でした。

2013-09-26 | Posted in CherishComments Closed